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猩々の構造と作り方 |
猩々大人形は、紙張子でできている頭部と、竹を組んで作った体部と、衣服(どてら、祭礼では裃に着替えることもある)からなっています。このうち、頭部を作るのが最も大変で時間がかかり、全作業工程の7〜8割を占めています。ただ、この頭部の表情が猩々大人形の性格を決定しますので、とても重要です。 保存会会長の久野充浩は、「一閑張り」という古来から伝わる技法で猩々の頭部を作っていますので、少し紹介したいと思います。 また、笠寺猩々保存会では、猩々作りを子供たちに教える活動も行っています。子の世代へ、孫の世代へと、ずっと受け継いで行って欲しいと思っています。 ◆ 一閑張りについて 一閑張り(いっかんばり)は、飛来一閑が創始した細工物と言われており、竹で編んだ籠に紙を重ねて貼り付け、漆や柿渋で染め上げたものです。古くは千家に茶道具として重宝され、現在でも和風の小物やインテリアグッズなど、いろいろな種類のものが市販されています。 参考HP: 一閑張・一貫張と柿渋 ・ 伝統工芸 本渋引き一閑張り ・ 一閑張りのこと ・ 一閑張りと柿渋の話
久納良助・久納良右衛門の流れを受けた猩々は、同じ一閑張りでも少し違っており、内側の補強は多少あっても、基本的には粘土で作った型の上に幾重にも紙を貼った、いわば紙だけの構造で作られています。そのため、目鼻立ちがくっきりとしており、豊かな表情の頭部になっています。 ただ、強度を保つためにはかなりの紙の厚さが必要ですので、作るのは大変です。猩々の頭部はとても大きなものなので、会長の話では、1体完成するのには1年ぐらいかかるそうです。 ◆ 頭部の作成
胴体は、竹を格子状に組んで銅線で固定し、カゴ状の形にします。写真のように、O型の横竹(胴回り)、逆U型の縦竹、肩竹の3種類の組み合わせで編まれています。 上部には、頭から出ている首棒を差し込む溝つきの板が、二重に取り付けられています。 前面には、のぞき用の布(ガーゼか木綿)を取り付けます。こののぞき用の布の部分を、「息抜き」または「息出し」と呼びます。中から外は見えますが、外から中にいる人の顔は見えません。 あとは、衣装(どてら、または裃)を着せて完成です。
肩棒には、猩々を長く被っていても肩が痛くならないように、クッション状の布が巻いてあります。上の写真は、わかりやすいように、手前側のクッションをはずしてあります。また、写真のように、腹部と背部にも、クッションが取り付けてあります。 ◆ 子供向けの猩々作り教室 子供たちは、粘土をこねて猩々の頭の型を作り、できた型の上に和紙を小さく切って貼り付けているところです。会長の久野充浩が、皆に、一生懸命教えています。 実際の猩々の頭は非常に大きいので、子供たちが作るのはもちろん無理ですが、いくら小さくたって自分専用の猩々だと思うと、力の入り具合が違います。どんな猩々が完成するのか、とっても楽しみです。 |
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